ツブラジイの実
【シイの実は食える】
ナラ類カシ類のドングリは渋くて相当手をかけなければ食えたものではない。
そんな話を方々から耳にし、「野生の堅果は総じて食えないもの」とばかり思っていたところ、
シイの実は癖がなくて普通に食べられる。
むしろ子供の頃よく食べていた。
という話を嫁から聞きました。そんな文化?があることにもビックリ。
「秋になるとシイの木が生えている公園まで拾いに行った。炒って食べたり、クッキーに入れたりしたが、たまにただのドングリが混ざっていて渋かった」
と述懐する嫁。すげえな。
【シイの木とは】
いわゆるシイの木は、日本の照葉樹林でしばしば見かける常緑の広葉樹です。高校生物くらいでは、カシ類と並ぶ極相林の構成種として紹介されますね。一般には正式名でいうところの「スダジイ」と「ツブラジイ」の二種を指します。
シイの木はブナ科シイ属に分類されます。ブナ科はナラ、カシ、クリなどの堅果を実らせる種が集まったグループです。さらにシイ属はクリ亜科という中グループにあり、分類学的にはナラ、カシよりはクリに近いようです。
ちなみに、堅果は基本的に無胚乳種子なので、ドングリの中身もクリの可食部も大部分は子葉です。
【シイの実を探しに】
嫁の話でシイの実のことが気になり、近くの山に行ってきました。ここはアラカシとツブラジイが優占する照葉樹林です。
時期外れのため、なかなか見つからなかったのですが、登山者の目を気にしつつ地面を這うように眺めていると、ちらほら。
殻に包まれたツブラジイの堅果。スダジイよりも小さいようですね。殻はほかのドングリの帽子と同じもので殻斗と呼ばれます。
剥くとこんな感じ。ナラ系のドングリより尖った印象です。あとお尻があまり白くない。
失敬して割ってみると、白い!マカダミアナッツみたいです?
生食もできるみたいですが、まぁクワの冬芽よりはイケるかな、って感じですね。
ただ、見かけた多くの実はこんな感じじゃなく、虫食いや萎びた状態でさすがに食えたもんじゃなかったです。
食べられるやつは「虫食い穴がない」「きちんと成熟し表面が黒光りしている(乾燥していない)」「簡単に割れない」ものに限られていました。
【シイの実はどんな味か】
簡単に言うと、美味しいです。
皮を剥いてから炒めるとポリポリしてナッツっぽい。皮のまま炒ってからだと柔らかさが残ってクリっぽい食感と味がします。
来年は嫁の故郷でスダジイの実を拾いたいです。