道東周遊(茅野公園の話)

4月から縁あって岐阜に住むと思われるワテクシです。
そういうわけで、北海道を離れる前に個人的なゆかりの地である道東を巡ってきました。

このブログに関係ある訪問地を列挙すると、
・岩見が浜
・丘の上のミズナラ
・茅野公園
・武佐の森
・鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
・網走沿岸
といったところでしょうか。
上記の上から4つは個人的なパワースポットです。

とりあえず欲張って全部書くのは不可能なので茅野公園のはなし。
ここは僕が以前育てていたミズナラQuercus crispula)の原産地ということで非常に思い入れがある地です。
育てていたのはこんな子、名付けて「シマタロウ」(図1)。

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図1 ありし日のシマタロウ

この写真の当時でも結構年数が経っているのですが、身長は伸び悩んでいますね。
ちなみにこの翌年、住んでいた某施設の暖房効果により変調をきたしシマタロウはほかに育てていた稚樹ともどもお亡くなりになり、僕はもう室内で木を育てはしないと誓ったのでした。

さて、注目していただきたいのは葉っぱの鋸歯です。
札幌で拾った別の個体と比較すると(図2)、だいぶ鋭さが欠けていることに気づかされます。

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図2 あしり日の別個体(シマジロウ)

そんなんただの個体差じゃんと言い捨てるのは早計です。
元気がないからトゲトゲにも張りがないのでは?というのもまた同じ。
どうにもシマタロウは純粋なミズナラではなく、「カシワモドキ」のようだ、というのが僕の見方であります。
カシワ(Q. dentata)の葉の鋸歯はまるっとしているため、その遺伝子が混ざることでシマタロウもそれに近づいたのです。

このあたりは海に近く、海岸に沿ってカシワ林が広がっています。その後背にはミズナラ林。
気温が低いと、カシワとミズナラは開花期の関係で自然交雑しやすいのですが(清水 1995)、道東のこの地域はその本命地といってもよいでしょう。
数年前に帰省した際にも、どうやらそうらしいということが調べた結果わかっています(http://blogs.yahoo.co.jp/ezolisu2323/MYBLOG/yblog.html?m=lc&sv=%A5%AB%A5%B7%A5%EF%A5%E2%A5%C9%A5%AD&sk=1)(図3)。

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図3 鋸歯の違い(適当だけど)

そのため、シマタロウはいくらかカシワの遺伝子を含んでいるものと推察されるわけです。
まあしたがって、茅野公園のミズナラもたぶんカシワっぽさをはらんでいるんでしょう(図4)。

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図4 茅野公園に現存する個体の葉

こんな道東の自然の特徴をとてもよく反映している、バーベキューや花見会場とだけ認識されるにはあまりにもったいない公園が茅野公園なのです。

しかも、道東らしさはミズナラだけに求められるわけではありません。
今回の旅行で初めて気が付いたのですが、ここには球果をつける大木のパッチがありました(図5)。

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図5 球果を抱えた大木パッチ

まさかとは思ったのですが、落ちてる枝の冬芽を見るとどうもハンノキ(Alnus japonica)っぽいのです。
湿性、それも最近は釧路湿原に進出していることで有名なあのハンノキですね(とか言っても、決して悪者ではないですが)。
その大木がこんな公園のど真ん中に林立しているなんて、ほかの地域ではちょっと考えがたいでしょう。

(とはいえ、ハンノキってこんな樹形にもなるのか、ちょっと自信がありません。
ほかにこの写真の樹種について候補があれば教えていただきたいところです。)

街路樹の多くはヤチダモ、そんな釧路の大事な一風景でした。