ニレについて

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藻岩山に登ったらここでも見つけました。コブニレ。
ストラップが邪魔しているのですが、写真を見ると枝にコルク質の翼(ヨク)があることが分かります。
これはハルニレの品種あるいは変種といわれていて、ニレ類特有の葉痕もしっかりと付いています。
札幌周辺ではちょいちょい見かける木です。

基本的に北海道で見られるニレ類はハルニレとオヒョウです。
こいつらは肥沃なやや湿ったところによく生えていて、僕の大学構内にはハルニレの巨木がたくさんあります。
移入木のノニレもあったかな。
本州中部以南にはアキニレっていうやつもいるそうですね。

ところで、なぜニレはニレというのか。
由来を調べてみると、樹液がネバネバしているから「ヌレノキ」がニレになったんだという説がありました。
昔は和紙漉く際にノリウツギやニレの内皮から採った粘液(ネリ)を使って水に粘りを与えていたらしく、これがなまってニレになったんじゃないかとも思われます。
やっぱり木の名前ってこんなふうに人間活動と深く結びついたものが結構多いですよね。
んで、ついでにちょっと面白いと思ったのが

ニレ
ヌレ(濡れる、ヌルヌル)
ヌリ(塗る)
ネリ(粘る、ネバネバ)
ノリ

の類似性について。
案外語源は全部共通していたりしてね(笑)

ちなみに、北海道では近年シカの個体群が急成長をしているためにニレがどんどん減少しています。
冬に食べ物がなくなるとシカが好んで樹皮を食べ、ぐるりと樹皮をはがされたニレは枯れてしまうからです。
世界遺産の知床ではニレがめっきり少なくなり、シカは図太くも他の樹種もどんどん食べるようになってきたので、生態系が大崩壊の危機に向かいつつある、という話もあります。
ただし、知床はまだそれほどでもないけども、特に日本海側なんかでは今シーズンの積雪量は今のところ全体的に多めのようなので、このままいけばそのあたりでは雪に埋もれて死んじゃうシカが結構いるんじゃないかなぁ。。
今後の変動が気になるところです。