フェノロジー

昨日、工学部前のキタコブシMagnolia kobus var. borealis)が一気に花を咲かせました。
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キタコブシモクレン科の木です。この仲間の多くは花も枝もよい香りがします。
なのでアイヌ語でもキタコブシは「オマウクシニ」といい、これは<よい匂いのする木>を意味します。
しかし、このよい匂いに誘われて疫病の神がやって来てしまうのを恐れ、彼らは時としてキタコブシを「オプケニ」<屁たれ木>とも呼んだそうです。
北海道ではこの木を「マンサク」と呼ぶこともあるそうなのですが、標準和名でいうマンサクは全くの別種。
 
そしてちょうどそのマンサク(Hamamelis japonica)もキタコブシの隣で花の晩期を迎えていました。
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マンサクの自生分布は本州以南なのでこれは植栽されたものです。
ちなみに北海道南部なら「マルバマンサク」(var.obtusata)なるものがあります。
花弁は黄色いビロビロとしたやつで、なかなか面白い花です。
 
本学構内で現在目立っている木本の花はこんなもんなのですが、上を見ると実はハルニレ(Ulmus davidiana var. japonica)の花が満開だったりします。
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ニレの花は風媒花なので正直全然目立ちません。
この木は葉っぱも出ていないこんな時期からすでに活動を開始している、ということに気づいている人は多くないでしょう。
 
他に山で撮った花たちもまとめて紹介しましょう。
 
エゾエンゴサクCorydalis fumariifolia ssp. azurea
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キクザキイチゲAnemone pseudoaltaica
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これと同属の花は結構あります。
 
キバナノアマナGagea lutea)たち
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エンレイソウTrillium apetalon
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これはがく片が緑の珍しいタイプで、ほとんどはあずき色をしています。
 
ちなみにこれらの花は種子に「エライオソーム」と呼ばれる甘い物質を伴いアリに散布してもらうスプリング・エフェメラルの一部です。
 
ナニワズ(Daphne jezoensis
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最後はちょっとシュールなツノハシバミ(Corylus sieboldiana)の雌花
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イソギンチャクみたいです。
カバノキ科なので雄花はふつうのカバノキ科っぽい姿してるんですけどね‐∀‐
 
さて、明日から僕は十日間ほどクマの調査で道北に行ってきます。
その間にフェノロジーがどれだけ進んでしまうかちょっと不安だなぁ。
まぁその前に無事に帰ってきたいです笑