2011年度春のクマさん

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どうもお久しぶりです。
先日僕は天塩地方の大学演習林へヒグマの調査に行ってきました。
当調査への参加は去年に続き二回目。
「ただいま!」と「初めして、お邪魔します」の二つの想いを胸に抱えての11日間でした。

去年との大きな違いは雪が少なかったこと。
もっと少ない年に調査に行った人から言わせれば「大したことない」そうなのですが、雪が少ないとササが「立って」おり、所によっては非常に歩きにくいのです。
この地域に広がるササは、所によっては2m以上の丈ですからね。夏よりはマシですが、そいつらが一面中に広がっている地帯を歩くとなると軽く絶望します(笑)。
さらに雪解け直後だったため、浸食が進んでいる沢では氾濫水と一緒に運ばれた土がササに被さっており、ササを1時間もくぐっていると全身どろどろに。
ただし増水の時期は終わっていたため、去年よりも気軽に川の中を歩いてササを避けることもできました。
それはそれで、思わぬ深みにハマって後輩が悲鳴を上げていたりと話題は尽きないのですけれど(笑)。

等といいましたが、どんな困難が待っていても、森の中を歩くのはやはり楽しいものです。
どこをどう歩こうかと思考をめぐらしたり、はしゃいで思わず童心にかえったり、冒険心を燃やしてみたり、これはなんだろうと好奇心がくすぐられたり・・・。魅力を見つけ出せば価値は無限大です。
一つ嬉しいこととして、2年生のある後輩がこんなことを言ってくれました。
「木の名前が分かると森の景色が全然違って見えますね。新しい楽しみ方が身についた気がします」
我々の調査では同定する必要のある樹種が限られているため、必ずしも樹木の知識を豊富に持つことが求められるわけではありません。
その後輩も、以前は樹木に向ける目をそこまで磨いているわけではなかったのですが、新入生がやってくるということで頑張り始めたのでしょう。
その成果は彼女の興味をさらに育て、どうやら彼女にちょっとしたブレイクスルーを起こしたようです。
木が好きな先輩としては、これ以上の感激にはなかなか出逢えないだろうなぁ。

肝心のクマさんのほうですが、この地域の彼らは増加傾向にあるらしく、今回も前回と比べてだいぶ多めの痕跡(足跡や糞)が発見されました。
今年の調査はヒグマが木につけた爪痕にも着目し、それなりの数を見つけてきました。
調査発起人はヒグマの樹上採食などについての考察も展開したいのだそうです。
がんばってほしいところですね。

そうそう、あとびっくりした出来事が一つ。
なんとコウモリが地面で寝ていたのを見つけたんですよね-∀-
テングコウモリという種類はいろいろな場所をねぐらに使うそうなので、落ちてきたものじゃなければそれじゃないかと思うのですが…
河原の廃林道上に落ちていた毛だまりがもそもそと動いたときには何事かと思いましたね(笑

最後に写真を軽く紹介。
一枚目は調査地西側の風景で、典型的な針広混交林です。
ただ「典型的」とは言いつつもやはり北方ですので、札幌にもあるキタコブシやカツラなどいくつかの樹種は、この地域では北限を越えているため見ることができません。
二枚目は見ての通りクマさんの足跡です。
古いのでだいぶ輪郭がぼやけていますが、雪の上だと結構分かりやすく残っているものです、
この個体は廃林道をずっと利用して歩いているようでした。
三枚目はオノエヤナギとケヤマハンノキが優占する河畔林です。
後にフキやイタドリやイラクサが茂ることになるのですが、このときは春のうららという感じでとても歩き心地の良い林床でした。


そんなこんなで、調査期間中は仲間との絆も深めつつ、とても充実した日々でしたとさ。