街と森のあいだ
3度目の受験となった分類に関する資格の2級植物部門に合格しました。十分な勉強ができているとはいえず、お世辞にも知識があるとはいえない現状なので、少し複雑な嬉しさを感じます。このまま受験が恒例行事化するのかなと思っていた節もあり、来秋に大阪へ遊びに行く口実がなくなったのもやや哀しいです。
さらに、受かったところで現状そこまで役に立たないというのも悶々とします。この資格が役に立つ仕事は少なからずあり、僕もその仕事に興味はあるのですが、現職からそちらへのシフトは厳しめです。それを甘受した上で、もはや趣味だから、と割り切って受けたので今更嘆くこともないのですが、資格を手にするとやはり欲は出ますね。
しかし大事なのは向上心です。現状がどうであれ、それを失うわけにはいきません。肩書きを手にしたところで知識が満たされるわけでもありません。毎年受けても余裕で合格できるくらいには、学び続けておきたいところです。
写真は昨秋撮った山から街を見下ろした風景です。人々の営みはまさしく山を削ることで成り立っています。道路の下にもコンクリートの中にもたくさんの砂利が使われています。この写真は、どんな自然愛護家も山を削ることなしに街で生きることは構造として不可能なのだと訴えかけてきます。
僕はそれでも森と向き合っていくでしょう。春がきたら、今よりも活動の幅を広げようと思います。
あえて乗っ越し
先日、ちょうど早起きできたので、山開きだった夜叉ケ池まで吸い寄せられるように登りに行った。体力の衰えゆえに思ったよりもペースが上がらず案の定ヘトヘトになった。手にした地図も「早く進みたい」という願望とのギャップが生じたためだいぶ読み間違えた。
降りてきて、車に乗ったが、このままではなんだか悔しい。そこで少し下の方にある渓流にふらりと立ち寄った。
こんなこともあろうかと新品の沢足袋を用意していたので大変快適。調子に乗って疲れを無視して小さな谷間を登りつめてみることにした。
何が言いたいかというと、写真を見返したら緑がとても綺麗だったって話。下層植生は疲れのためにほとんど調べることなく通り過ぎてしまったのが残念。林相はブナブナしていた。
鞍部を超えて別の谷から下る。全体を通してミズキやらハクウンボクやらヤブデマリやらの白い花も目立っていた。
翌日は全身の疲労で動けなかった。
クマハギ対策
先日登った山にこんな風景を見つけた。
スギ(Cryptomeria japonica)たちが緊縛されている…?
人工林であることから、これが林業上の措置であることは推察できるが、目的がわからない。肥大成長すれば幹を締め付けてしまうのではなかろうか。いやSMじゃあるめぇし。
そんな疑問を思い出したので調べてみたところ、こちらの被害を防ぐための対策なのだということがわかった。
同じ山でやはり頻繁に目に付いた光景、クマ剥ぎである。
結ばれていたロープは「わな結び」という結び方により、肥大成長に伴う締め付けを回避しているという。
http://www.green.go.jp/gijyutsu/pdf/zorin_h2307-3.pdf
一見クマ剥ぎ防止効果があるとは思えない簡便さだが、効果ありの結果を示す研究成果があった。ぐぬぬ…人間の知恵ってすごい。
http://www.green.go.jp/gijyutsu/pdf/zorin_h2307-4.pdf
林家的にはクマ剥ぎは頭の痛い問題だと思うが、人とクマの攻防を思うと面白い。両者うまく釣り合っていければ、と想わせもする光景なのだった。
河原の公園と樹木
いたるところに白い実をぶら下げた木がある。
センダン(Melia azedarach)という木らしい。沿海から丘陵の明るいところに生えやすい。ただしこの辺のは自生種ではないようだ。
近くにアキニレ(Ulmus parvifolia)と思しき木もあった。
冬芽周辺はニレ科によくあるご尊顔である。
エノキ(Celtis sinensis)の冬芽も見てみた。
さすがにニレ科に似ているが、エノキムクノキは最近だとアサ科に分類されている。
よくわからない実生も見つけた。
ヤマモモ(Morella rubra)に似ているが、葉の先端が伸びているのが気になる。
ご存知の方がいたらご教示ねがいたい。
そういえばヤマモモ属の「モレラ」は岐阜にあるショッピングモールの名前と同じだ。綴りも由来も違うけど。